2019年春ドラマ

【きのう何食べた?】8話のあらすじ(ネタバレ)と感想「桃に込めたシロさん(西島秀俊)の想い」

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ドラマ「きのう何食べた?」第8話が2019年5月25日(土)に放送されました。

今日のゲストキャラは濃いです。

いろんな意味で。

熟年ゲイカップルのテツさん(菅原大吉さん)とヨシくん(正名僕蔵)さん。

原作の中でも、ことにLGBTの人の深い思いを感じられる出色の一本です。

ここでは、「きのう何食べた?」第7話のあらすじ(ネタバレ)と感想、視聴者の声(評価評判)を紹介していきます。

【きのう何食べた?】8話のあらすじ(ネタバレ)

おしゃれな店で…

金曜の夜、レストランに呼び出されたシロさん(西島秀俊)は気まずい思いをかみしめていました。

ケンジ(内野聖陽)の知り合いのテツさんと、その彼氏のヨシくんとのダブルデートです。

しかし、そこは最近行きつけになってきた“二丁目”などではなく…むしろおしゃれな雰囲気の店で、客層も男女のカップルや女性客が多く…シロさんはむずむずする居心地の悪さを感じていたのでした。

個室とか…せめて端っこの席が良かったのに、と思いながらも、込み合う店ではどうしようもありません。

「ここの塩はヒマラヤ岩塩かな?」

ヨシくんは、食材や調味料をオーガニックで揃えてしまうほどの食通です。
そんな彼をテツさんはほほえましく見守っています。

「これ美味しい…ヨシくん、今度作って」

そう言いながら彼の指先はナチュラルにヨシくんの口元をぬぐっています。

隣のテーブルのカップルは、そんな様子に興味津々でした。

(絶対“そう”だと思われてる…)
加速度的に機嫌が悪くなるシロさん。

一緒に住むとか、そういう会話が漏れたのか、隣からは「絶対そうだ…」「さっき、口元拭いてたし」という言葉が聞こえてきていました。

知らず知らず、渋い顔になっているシロさんを気遣ってテツさんが声を掛けました。

「こういうの、お口に合わなかったですかね?」
「いえ…頂いてます」

とりつくろっているのが見え見えのシロさんに、ケンジも気まずさを感じ始めていました。

「筧さんは料理が得意だと伺っています」

テツさんの言葉に「筧氏は普段どんな料理を?」とヨシくんが尋ねました。

「いや、ごく普通の。こだわりも何もないです」

でもすっごく美味しいんですよ!とケンジが言うと、シロさんは内心(声が大きいよ!)と思ってしまうのです。

「筧さんは弁護士さんですよね?お忙しいでしょう?どういった分野がご専門?」

「全然…俺の場合は、忙しくはないです…」

テツさんの言葉にもずれた口調で話してしまい、ケンジはいたたまれなくなってファッションの話をヨシくんに振ったりしますが。

全てがよくないスパイラルに陥っていってしまったのです。

(俺、めちゃくちゃ感じ悪い…でも、この状況は無理だ…!)

シロさんはワインを煽ってやりやり過ごそうとします。

帰路、足早に歩く彼をケンジが追いました。

「あのさ、シロさん怒ってる?」
「何が?」
「いや、急にヨシくんたちとの食事会に呼び出しちゃったりしてさ…テツさんが、シロさんに会いたがっててさ」
「全っ然!」

晩飯作る手間が省けてよかった、家に材料なかったし。

「でも俺たち、庵だけ人がいる中でゲイテイスト満載な話をしちゃったし…」

「それ今気にするなら、最初から店選べよ!」
個室とか、少しテーブルが離れてるとか____。

小日向らとダブルデートすることが増えたので、大丈夫かと思った、と言うケンジに、シロさんは畳みかけます。

「二丁目と、ああいう店じゃ全然違うだろ?」

ごめん、と謝るケンジに、トドメのように…。

「なんでそこで謝るんだよ!お前は!!」
「え、だって…」
「もういい、何も言うな!」

シロさんは、後ろも振り返らずすたすたと歩いて行ってしまったのです。

桃をシェアする

その休日、料理友達の佳代子さん(田中美佐子)宅を訪れたシロさんはテーブルに置かれた桃の箱を見て驚きました。

12個で2000円という破格の桃を、シロさんとシェアしたい、と声をかけてくれたのです。

どうしても食べたくて買ったんだけど、食べきれないから、と。

「最近の果物って甘いから、一個食べると満足しちゃうんですよね」

でも、モモはケンジの好物で、たまには美味いの食べさせてやりたいし…。
そんなシロさんに、佳代子さんは言うのです。

「筧さんとこってさ、話聞いてるとケンジってヤキモチ焼きみたいだし、筧さんの方がクールで冷たいのかなって思ってたんだけど、違うのかもね」

その頃。
店のバックヤードでケンジはテツさんと電話で話していました。

「いや、テツさんのせいじゃないです。
俺が、最初にシロさんに説明しておけばよかった。
今日相談できるか、もう一度頼んでみますね」

通話を切ると、ケンジはふっと窓の外を見やり、何事かを思うのです。

「筧さん、結構大事にしてるのよね、その、ケンジのこと」

「大事にしてるのかもしれませんね。
確かに今別れたら、俺の方がダメージでかいんだろうなぁ」

「そうなの?」

「実際今はケンジの方が俺に惚れてると思いますよ。
もし今別れたら三か月くらい泣いて暮らすのはケンジの方です」

自信満々なその言葉に佳代子さんは思わず笑ってしまいました。

「でもそれだけ情が深いってことは、ほれっぽいということでもあって、さっさと次の誰かを好きになるのは、間違いなくケンジの方なんですよ…」

お茶を用意してくれた佳代子さんに、ゲイの恋愛の始め方の面倒くささを語るシロさん。

「40半ばで一から恋愛するなんて、めんどくさくて、おれはもう嫌なんですよ…だから俺は、あいつとは絶対に別れたくないんです」
佳代子さんは、そんな言葉に意味ありげに笑いました。

「素直じゃないなぁ…この桃だって、ケンジに食べさせてあげたくて買ったんでしょ?」

「いや、それは、そういう努力をしないと簡単に切れる関係だからですよ」

結婚とか、そういう社会的制約がないから、というと佳代子さんは驚いた顔をしました。
「なるほど!でもね、別れないための努力を惜しまないって、素敵よ?」

そう言って、佳代子さんは桃を一個おまけしてくれました。

悩み深き晩餐

佳代子さんちからの帰路、ケンジからLINEでヨシくんたちが家に来たいと言っているとの連絡を受けたシロさん。

なにやら、話があるのだというのです。
食事は気にしなくていいとは言われても、ハイそうですか、とはいかないのがシロさんです。

簡単に用意しておく、とは言ったものの、何を作ったら良いものか…。

相手は拘りの食通とその彼氏です。
(麺つゆと顆粒出汁でほぼほぼ乗り切る俺の料理なんか…、食わせられんのか?)

見栄っ張りのシロさんはオーガニックの食材を扱う店を訪れてはみましたが、あまりの高さに撃沈。

いつも通りでいいや、と行きつけの中村屋スーパーで買い出しをして家に戻るのです。

作り始めたのは茄子とパプリカの煮びたし。

そして筑前煮。
生姜の風味を聞かせた一品です。

だんだんいつものペースを取り戻してきたシロさんは表情が柔らかくなってきます。

塩鮭を焼いてほぐしていり卵とキュウリの塩もみをまぜ、たっぷりゴマを振った混ぜ寿司。

ブロッコリーを茹でて、梅干しとマヨネーズとわさびのソースでサラダ。

後は常備菜でいいか、と晩餐の支度を終えたのです。

ヨシくんとテツさんは、美味しい白ワインを手にやってきました。

そして、シロさんの作ったご飯を美味しそうに食べ始めたのです。

「うーん、こりゃ美味そうだねぇ」

筑前煮に舌鼓を打つヨシくんの反応にドキドキ、マヨネーズソースの調合を聞かれてみりんが隠し味だと教えたり…シロさん、落ち着きません。

蕪のあんかけに「優しい味で、ボクは好きだなぁ…ヨシくん、今度作って」というテツさん。

食事は一見和やかに進んでいきました。

「どの料理も本当に美味しいです。
本当にお手間をかけました…あのう、前から、ご相談したいことがあったんですが…。
今、お話ししても良いでしょうか?」

思いがけないそのテツさんの言葉に、シロさんは深い気遣いを感じたのです。

テツさんの希望

「僕ね。
59なんですけど。
何軒か飲食店をやっていて、経営も巧く行って、財産と呼べるものもあります。
それをね、全て、ヨシくんに渡したい、って思ってます。
それでね…遺言書を作ろと思ったんですが、僕の両親はまだ健在で、もしも僕が今すぐ死んだ場合、どうしても…」

「ご両親には1/3の遺留分があります」
シロさんが補うように言いました。

「そう…僕が…歯を食いしばって貯めた金を、田舎の両親に、びた一文渡したくないんです。
ヨシくんとは、養子縁組をしようと思っています」

「そうですね、養子になれば…相続人はヨシくんだけになります」

二人は手を握り合って力を分かち合うようにシロさんをみつめました。

「それで、今度事務所に伺ってもよろしいですか?」

ヨシくんは、職場ではゲイであることをカムアウトしていないシロさんに迷惑がかかるのではないか、と心配して、予めこういう席を設けたかったのだといいました。

ケンジも、事の次第を分かったうえで、シロさんに声をかけたのです。
「事務所にいらしてください。お二人の希望通りになるよう、力を尽くします!」

弁護士の顔を取り戻したシロさんがそう言うと、

二人は「ありがとうございます!」と喜び、互いの手を握り締めて「良かった!」と安堵の表情を見せたのです。

苛立ちと、和解

「初めから言えよ」

二人が帰った後、シロさんはケンジにすこし苛立った口調で言いました。

「あの人たちがそういう目的で俺と会いたがってたって」

「ゴメン」

その諍いは、前回と同じようなパターンで…シロさんも自己嫌悪に陥ってしまいました。

「シロさんと俺は、考え方が違うんだ…今度から気を付ける…夜のうちに、瓶とか出してきちゃうね」

ちがう、俺が苛立ってるのはケンジのせいじゃない___ここまで生きてきて、いまだにゲイっぽく見られたくないとか、そういうことをうじうじ考えている器の小さい俺自身に腹を立てているんだよ、俺は!

上手く気持ちを伝えられないもどかしさに、シロさんの目も潤んでいました。

玄関を出て行った気配に、シロさんは思うのです。
(このまま、帰ってこない、ってことだって…無くはないんだよな)

過去、そういう別れを経験したことがあるシロさんは、胸がつかえるような気持ちを抱えていたのです。

仲直り…?

翌朝。
ケンジの朝ごはんの分を冷蔵庫に残して、シロさんは出勤しました。

「今日の夕飯のリクエスト、俺シロさんのハンバーグが食べたい。あれ、美味しいんだよねー…玉ねぎしゃきしゃきで…」

そうなんだよな。
ああいう、何気ない仲直りの仕方、教えてくれたのはあいつなんだよ….
悔しいんだよ…俺もいつか、あいつみたいになれる日が来るんだろうか…?

寝ぼけたケンジは冷蔵庫においてある桃を見て満面の笑顔に。

そして頬張ってうっとりしていました。

シロさんが俺のために…俺今、すっごく愛されてる…!

幸せなケンジのブレックファストは穏やかに進むのでした。



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【きのう何食べた?】8話の感想

ヨシくんとテツさんのお話。
原作の10年近い蓄積の中で、最も好きなエピソードのひとつです。

よしながふみさんは、こうした穏やかで細やかなやりとりにちくりと小さな毒針を残すような描写をされますが。

その小さな毒が、テツさんの心の中にあるさまざまなものを表し、そして彼にとってのプラスに転じていく、その展開は流石だ、と思っていました。

短い会話の中で、彼がこれまで肉親と決別してきたであろう苦い過去と、今ともにあるヨシくんの存在の大きさ、大切さ。

たった一ページで表されたその描写を、このドラマはまさに”原作越え”レベルにまで昇華させてくれたのです。

ありがちなファンタジーでも耽美でもなく。
普通に生きている人の中にあるLGBTの問題と法律の壁を丹念に浮かび上がらせて、シロさんが持てる力でそれを解決に導けそうな…希望を見いだせる方向を示唆して、穏やかに物語を締めくくる、原作の読後感は温かいものでした。

菅原大吉さんは良い人も悪い人も怖い人も自在に表現される素晴らしい役者さんです。

まさか彼をここに配してくるとは!

いい意味で予想を大きく裏切られ、その告白シーンでは、原作のテツさんを超える静かな凄みを感じられました。

ヨシくんを演じた正名僕蔵さんも長いキャリアを持つ役者さんです。

今回の、言葉を絞り出すように語ったテツさんのお芝居に、手を添えて力を合わせていたような、そしてシロさんに快諾してもらって喜びを分かち合うような、そんなお芝居は、お芝居に見えないほどの”本物”感がありました。

あれは、アドリブだったのかな?
だとしたら、凄すぎる…。

彼らが演じてくれてよかった!

そしてそこに、佳代子さんというシロさんの理解者、スーパーバイザー的に分析してくれる人がシロさんのそばにいてくれて、良かった。

フラットなその言葉で、シロさんはがちがちに固まりがちな自らの立ち位置をリセットしながら、ケンジに向き合っていけるのかもしれません。

こういう関係性、よしなが作品ならではの、まさに醍醐味だと思っています。



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【きのう何食べた?】8話の評価評判

まとめ

次回はお休みらしいですね。

再来週、9話目となりますが。

同期の弁護士の結婚式に招かれたシロさんは残された貴重なイケメンとして、女性らの波状攻撃を浴びてこりごり…その虫除け(笑)にケンジとおそろいの指輪を買うことを決意するのです。

乙女なケンジがそんなアイテムを喜ばないはずがありません。
はしゃいで楽しんで…二人の関係は、そうしてまた少し進展する予感です。

さて、雑誌「CUT」でよしながふみさんの1万字インタビューが掲載されました。表紙はなんとシロさんとケンジのお二人です。

原作裏話から、ドラマのことまで。
よしながさんが食にこだわって物語を構築していることと、そしてゲイだといっても、ごくごく普通に暮らしている社会人の人たちの姿を描こうとしていること。

なんというか、地に足を付けた、そんな物語を目指しているのかな、と思われる、バックグラウンドが透けて見えました。

興味のある方はぜひ読んでみてください。
他の作品の解説も載っているので、その奥深い世界を知るきっかけになれば幸いです。

最終回まであと4話。

原作のあのシーンとか、この話とか…実写化してくれるのかな?それとも、セカンドシーズンは…?!と妄想はどんどん膨らみます。

そんな中で、シロさん(違)が出演している「空母いぶき」が公開されました。

そちらでも「食べること」を大切にしている彼・秋津の言葉にちょっとにんまりしてしまった私。

人は、食べて眠って、働いて、学んで…そんな当たり前の日々の穏やかな時間が何よりのシアワセなのだと思わされる両作品共通の描写がとても好きです。



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